中学受験における塾の選択は、子どもの学習効果や受験対策の成否に大きな影響を与えます。その中で、集団指導と個別指導は2つの主要な選択肢です。
今まではどちらかを選ぶというのが主流でしたが、現在では集団塾と個別塾の掛け持ちも一般的になってきています。
実際に私は個別指導塾で働いていますが、集団塾のフォローをしてほしいという中学受験生の方はあとを絶ちません。
中学受験の実情を知る現役塾講師の目線から、集団塾と個別指導塾の良い点とイマイチな点を比較し、2つを併用するメリットとデメリットをお伝えしたいと思います。
中学受験を集団塾でするメリット
中学受験を集団塾でする利点は何でしょうか。それは以下の3つに集約されると思います。
1.ライバルと競い合う意識が生まれる
2.先取りをして余裕を作れる
3.中学受験に特化した指導になっている
ライバルと競い合う意識が生まれる
集団塾ではテストの度に順位が決まり、それによってクラスが変わったり、あるいは席の順番が変わったりもします。
同じ年齢の子供と競争することによって、モチベーションが高められ学習効果が向上することは多々あります。特に負けず嫌いの性格の子はライバルと切磋琢磨する環境でやる気に火が付くことが多いです。
先取りして余裕を作れる
集団塾にもよりますが、授業の進度はかなり早いです。
独学や個別指導塾では実現できないスピードで授業を進めていき、早い段階で受験に必要な基礎知識に全て触れることができます。
そして6年生の段階では入試に向けてより細かなテクニックや問題を通じたアウトプットの練習をしていくという流れです。そのため授業が受験に間に合わないということはありません。
中学受験に特化した指導になっている
集団塾、特に大手の中学受験塾の内容はやはり中学受験に特化したものとなっています。
例えば算数では完全に解法がパターン化されており、AというパターンはBを使う、CというパターンはDを使う…と反射で解法が思い浮かぶくらいに叩き込まれます。
このスタイルが良いのか悪いのかは置いておいて、これだけシステム化されていると誰が教えても一定の成果が出ると思います。(実際、下のクラスは大学生のバイトが教えているところも多いです。)
このため、講師による当たりはずれが個別と比べて起きにくいというメリットがあります。
集団指導のデメリット
1.個々の学習ペースは無視される
2.融通が利きにくい
個々の学習ペースは無視される
集団指導では多くの生徒が一つのペースで授業を進めるため、個々の学習ペースに合わせた指導が難しい場合があります。そのため、学習の進捗に差が生じることがあります。
もちろん、学力に応じたクラス分けはありますが、その中でもどうしても理解ができなかったり、分からないところを解消できないまま授業だけが先に進んでいくことは多々あります。
自分から積極的に質問できればこの問題も解消できますが、消極的な子の場合は不明点を放置したまま受験に突入してしまうということも多いです。
融通が利きにくい
体調不良や家庭の用事でどうしても授業を欠席しないといけない場合もあると思いますが、集団塾だとその回の授業を再び受講するということは基本的にできません。
また、夏期講習などの講習会ももともと年間スケジュールに織り込み済みなので、講習会もしっかりと受けていく必要があります。
もちろん、トップレベルの学校を目指す場合にはすべてを犠牲にして勉強するというのも選択肢の1つに入るのかもしれませんが、習い事をしながら無理なく中学受験の勉強をしていくという場合には集団塾のスタイルでは難しいかもしれません。
個別指導塾のメリット
1.個々のニーズに合わせた指導
2.振替などの融通が利きやすい
3.相談に乗ってもらいやすい
個々のニーズに合わせた指導
個別指導では生徒一人ひとりの学習スタイルやニーズに合わせた指導が可能です。そのため、生徒が自分のペースで学習を進めることができ、効率的な成果を得ることができます。
苦手な単元は都度復習したり、親御さんから「ここを重点的に扱ってほしい」と要望を出せば、そちらに合わせた指導をしてくれます。探せば科目制ではなく、全科目の不明点をフォローしてくれる個別指導塾もあります。
担当講師との距離も集団塾と比べて近いため、子供の精神的なサポートも期待でき、中学受験においては心強いパートナーとなってくれるでしょう。
振替などの融通が利きやすい
先ほど触れたように集団塾ではどうしても融通が利きにくいという特徴がありますが、個別指導塾の場合は色々と配慮してくれることが多いです。(そうしないと生き残れない側面もあります。)
もちろん、塾にもよりますがどうしても授業に参加できない場合は後日振り替えてもらえたり、講習会も生徒一人一人に合わせて、適切なボリュームで取ることが可能です。
その他にも、やはり扱う科目を変えたい・4科受験から2科受験に切り替えたいとなった場合でも柔軟に対応してくれるケースが多いと思います。
個別指導塾のデメリット
1.授業の進度面が心配
2.講師の当たり外れが大きい
授業の進度面が心配
個別指導では大手と同じテキスト(例えば「中学受験新演習」や「予習シリーズ」など)を使って学習することができますが、生徒の理解度を重視するために授業が中々進まないということもあります。
もちろん、そういったケースは追加でコマを取ってもらったり、講習会で徹底復習するなどの対策を打つのですが、「本当にこのペースで大丈夫か」と親御さんが不安になることもあります。
講師の当たり外れが大きい
個別指導塾の場合は、講師の当たり外れが大きいことにも注意が必要です。
よくあるフランチャイズ系の塾では、大学生・大学院生のアルバイトを雇って指導している場合がほとんどです。
もちろん、そういった学生講師の中にも素晴らしい方はいらっしゃるとは思うのですが、本当にバイトという感覚でやっている方も多いです。
そのため、講師の質は本当にピンキリ。個別指導塾を選ぶ場合は講師の変更ができるかどうかなども確認しておくといいでしょう。
集団指導と個別指導の併用のメリット
以上をまとめると、集団塾は競争心を高めてカリキュラム通りの指導を受けられるが、授業についていけないときのフォローや、欠席した際の振替などができないという特徴があります。
一方で、個別指導塾は面倒見がよく、お子さんの理解度を重視した指導が可能ですが、進度と講師の面で少し不安が残ると言えます。
両者ともメリットはありますが、デメリットもあるというのが実情です。
このデメリットを打ち消すという点で考えると、集団塾と個別指導塾の併用はかなり理にかなっていると思います。
具体的にどうするのかと言うと、基本は大手集団塾に通いながら、どうしても苦手な科目を個別指導塾でフォローアップしてもらうというスタイルが一番だと思います。
実際に私も個別指導塾で指導に当たっているのですが、このような通塾をされる中学受験生の方は非常に多いです。イメージが湧くと思うので、私が担当した実例を紹介したいと思います。
Kさんの場合
大手集団塾に通いながら、小6の夏過ぎに個別指導を検討。一番のネックとなっていたのは国語で、国語の点数を安定化するための勉強方法を模索されていた。
実際に個別指導に週1で通われて、国語の正しい読解方法や復習の方法をお伝えしたところ、第一志望の模試の判定は30%→80%まで大幅にアップ。
国語がある程度安定した後は、算数や理科などのニガテな単元をブラッシュアップ。万全の態勢で受験に臨み、無事第一志望に合格。親御さんからも非常に感謝された。
Nさんの場合
集団塾に通いながら2科受験を目指していたが、算数が基礎から危うい状態だった。集団塾の算数をフォローしながらより基本的な問題に絞って解説・演習を行った。
週1で個別のフォローをしていたが、直前期は週2回のご通塾に切り替えて過去問演習とはやさ・割合などの苦手単元をブラッシュアップした。
チャレンジ校は合格することが叶わなかったが、第2志望の学校に合格。本人としても満足のいく結果となった。
このように集団指導と個別指導を併用することで、両者のメリットを最大限に活かすことができます。集団指導では生徒同士の競争や刺激があり、授業進度の確保ができます。一方で、個別指導では生徒の個々のニーズに合わせたサポートや深い理解が得られます。
そのため、両者をバランスよく組み合わせることで、生徒の学習効果を最大化することが可能です。
集団塾と個別を併用できない場合はオンライン学習もおすすめ
今まで紹介してきたように、個人的には集団塾に通いつつ、苦手単元を個別指導塾で補うという併用スタイルが一番いいと思っています。
ただ、実際問題として周りに良い個別指導塾がない、費用面で併用は難しい、個別指導まで通塾する時間的余裕がない…などなど、両者を掛け持ちするのが難しい場合もあると思います。
集団塾と個別指導塾の併用が難しい場合は、集団塾に通いつつオンライン学習で補うというのも1つの手です。
オンライン学習サービスの特徴として、個別指導よりも費用面を抑えて通塾時間0で学習ができるというメリットがあります。
詳しくはこちらの記事で語っていますので、気になる方はぜひ読んでみてください。
【小学生】オンライン塾や家庭教師で中学受験は十分に可能です。>>
まとめ
集団指導と個別指導にはそれぞれメリットとデメリットがありますが、両者を併用することで生徒の学習効果を最大化することができます。
集団塾の授業をベースに置きつつ、自分のニガテな単元を個別指導で補強しているというスタイルが一番いいでしょう。
特におすすめなオンライン学習のサービスとしては、家庭教師のトライとスタディサプリがあります。
トライはオンライン家庭教師+映像授業でしっかりと学習することが可能。スタディサプリの方は映像授業のみとなりますが、とにかく授業のクオリティに対して費用面のコスパが良いので検討する価値ありです。
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