理系なら数学・理科ができて、文系なら国語・英語が得意と一般的に言われます。ですが、生徒を指導していて感じるのが「文系なのに国語や現代文が苦手」という方がかなりの数いるということです。
文系である以上、受験において避けて通れないのが現代文ですが、できない人はどうすればいいのでしょうか。その解決策を紹介していきたいと思います。理系の方にも参考になる内容だと思うので、ぜひ最後までお付き合いください。
文系なのに現代文ができない理由3つ
現代文ができないのは、ざっくり言うと次の3つの理由があると僕は考えています。
①:語彙が足りていない
②:読み方が分かっていない
③:短いスパンで考えている
それぞれどういうことなのか詳しく説明していきます。
①:語彙が足りていない
まず第一に挙げられるのが単純にボキャブラリーが足りていないということです。
例えば次の文章を読んでみてください。
・この世界は二項対立によって切り分けられている。善と悪、右と左、天と地など人間は二つの正反対の概念で世界を把握する。しかし、実際の世界は濃淡があるだけの相対的なものに過ぎない。
上記の文章は僕がそれっぽく書いただけのものですが、例えば「二項対立」や「相対的」といった言葉を理解していないと文意を読み取るのは難しいと思います。
文系にしろ理系にしろどんなに頭が良い人でも知らない用語が出てきたら理解はできません。まず語彙力を鍛えることで文章が何について書かれたものなのかを素早く把握し、読解のスピード自体を早くすることができます。
②:読み方が分かっていない
また、言葉の知識が足りていないだけではなく、同時に文章構造や読解の知識も足りていないケースが多いです。
僕たちは日々、日本語の文章に触れているので「何となく」で文章の意味を理解していますが、実際には現代文のルールがあります。そして自分の解釈がこのルールとズレてしまっていることで正解を選べないことが多いのです。
例えば次の文章を読んで、カッコの中身を正しく埋めることができるでしょうか。
確かに、日本の英語教育には問題点があると思う。特にスピーキングやリスニングが軽視されている現在の状況は4技能を伸ばすにはバランスが悪い。「 」、大学入試で求められる力でもあるリーディングやライティングの力はかなり高いのが日本人である。
正解は「だが」や「しかし」といった逆接の接続詞が入ります。これは最初の文で「確かに…」とあるので一旦譲歩の表現を挟んでからそれに反する意見を主張するときの鉄板の書き方です。こういった構造は考えるまでもなく分かるレベルに落とし込んでおくことで、文章の展開をスムーズに追いかけることができます。
また、現代文を読む際に気をつけておかないといけない読み方もあります。例えば次の文章を読んで正解だと思う選択肢を選んでみてください。
窓の外ではしとしと雨が降っていた。庭では愛犬のポチがやかましく吠えている。私の脚は自然と玄関へと向かい、扉を開けた。
問:なぜ私は外に出ようとしたのか
①:ポチの様子が気になったから
②:雨の強さを確かめるため
③:友達との約束があったから
この問題、実は正解は①~③のいずれでもありません。なぜなら、どれも外に出たことの直接的な動機としては本文に書いていないからです。
多くの方が①や②を選んだと思いますが、このように自分の主観で判断してしまうと間違えるのが現代文の怖いところです。あくまでも本文に書かれている内容をもとに論理的に導き出せるものを選んでいくしかありません。
③:短いスパンで考えている
そして、最後に知っておいてほしいのは現代文の点数や成績を伸ばすには時間がかかるということです。
現代文においては、この公式や単語・文法を覚えれば対処できるというものは数学や英語ほど多くはないため、あとは文章を読み読解力を養っていく必要があります。そのため、一朝一夕に成績が伸びる科目というわけではありません。
もちろん、先ほど紹介したようにキーワードや構造などの知識を覚えていくことで点数は上がっていきますが、どこかで頭打ちになることが多いです。その時に諦めてしまうのではなく、長期的なスパンで歯を食いしばって勉強していくことが大切です。まずは、短期でグーンと成績が上がるものではないということだけでも知っておきましょう。
現代文への対処方法
そうは言っても文系なら現代文を強みとしたいところ。どうやったら現実的に伸ばしていけるのかと言うと次の2つに集約されると思います。
①:語彙と構造・読み方の勉強をする
②:古文・漢文の勉強も並行して行う
①:語彙と構造・読み方の勉強をする
まずは先ほども確認した通り、語彙力と文章の構造や読解方法の基本を勉強していきましょう。
語彙力については各予備校などが出している現代文キーワード集を使うと良いと思います。オススメなのはZ会から出ている「現代文キーワード読解」です。頻出の用語だけではなく、読解問題も付いてるので実際にどのような形で重要語句が出てくるかが分かります。文系の方ならぜひ1冊使って勉強してほしいです。
思想や経済などよくテーマとなる部分の背景知識を勉強したい場合は「イラスト図解でよくわかる!現代文読解のテーマとキーワード」が一番おすすめです。特に世界史を勉強している方にはオススメできます。イラスト付きで分かりやすくまとめられています。
読解については、まずは「田村のやさしく語る現代文」からスタートするのがオススメです。こちらは文章の構造や学校では習わないけど入試では大事な現代文のルールを分かりやすく学ぶことができます。
現役生なら高校2年生~高校3年生の終わりまでにはキーワードと文章の読み方を身に付けておきたいところです。気になる方はぜひ手に取って勉強してみてください。
②:古文・漢文の勉強も並行して行う
また、現代文は先ほども言ったように成績を伸ばすのにある程度時間がかかる科目です。そのため、現代文の勉強をしながら同時に勉強しやすい古文・漢文の勉強を並行して行っていくのが良いです。
イメージとしては古文・漢文の文法的・知識的な部分を勉強して伸ばしつつ、現代文の力をじっくりと養っていくことで国語全体の偏差値を上げていくという感じです。
実際に自分の成績や偏差値が上がっていかないとやる気は出ませんし、現代文だけに力点を置いて勉強していくというのもそれはそれでキツイ時間になると思います。また、古文・漢文でも読解はすることになりますし、選択肢に対する感覚というのも現代文と共通する部分はあります。
まとめ
文系だけど現代文ができないという方はまず、ボキャブラリーを増やすことと文章の正しい読み方をマスターするところから始めましょう。
ただ、読解の力は簡単に伸びていくものではないため、現代文以外の古文・漢文も勉強しながらじっくりと力を付けていくという姿勢が必要になります。
焦らずじっくりと勉強していくことで必ず現代文はできるようになります。途中で挫折をしないように長期的な目線で頑張っていきましょう。
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