そろそろどの塾でも夏期講習の申し込みが始まり、電車の中やネット広告、新聞の折り込みチラシなどで大手塾の宣伝を見かけることが多くなってきました。
でも、この夏期講習というのは受けるべきなのでしょうか。塾や予備校に通っていれば「なんだかんだ言って周りも受けてるし自分も受けておかないとな…」といった気持ちで何となく受講してしまう人が多いと思いますが、夏期講習の意義をしっかり知っておくことが必要だと思います。
今回は現役塾講師の目線から夏期講習の位置づけについて語りたいと思います。
そもそも塾の夏期講習とは?
まず夏期講習自体についても軽く触れておきましょう。夏期講習とはその名の通り、夏期とくに7月末~8月にかけて行われる特別授業のことです。普段は行われない集団授業があったり、レベル別の対策講座を用意する塾が多いですね。
普段は内部生(その塾に通っている生徒)のみしか授業は受けられませんが、講習期間は外部生も受け付けているのが大きな特徴です。普段は塾には通っていないけどどんな風に勉強するのか見てみたいといった生徒さんにはよい機会となります。
塾側としても通常授業よりもコマ数を増やして人を集めることで収益を上げられるのでこの講習期間中はかなり重要です。文字通り朝から晩まで授業が詰まっているので最後のコマが終わった後は燃え尽き、何もやる気が出ないくらい疲労困憊になります…笑。
夏期講習を受けるべき人の特徴
さて、ではどのような生徒が夏期講習を取ればいいのかというと僕は次の3点に集約されると思っています。
①普段からその塾に通っている人
②基礎が固まっており志望校対策を本格的にやりたい人
③もうどうしようもなく勉強のやる気がない人
①普段からその塾に通っている人
普段からその塾に通っている人は素直に塾の夏期講習を受けたほうがいいと思います。いつもの授業では扱いきれなかった科目や普段取っている科目の苦手分野の克服、さらにハイレベルの演習など、やることは山ほどあるからです。
もちろん、例えば早慶レベルの集合授業など大人数のハイレベル講座を個別塾に求めるのは無理なのでそういったときは大手の夏期講習に参加するのが良いと思います。
しかし、夏期講習中だけ別の塾に行き、別の先生の講義を受けるというのはあまりお勧めできません。というのも、今通っている塾の講師があなたの夏での取り組みを把握しきれないからです。
今塾に通い続けているということはそこのサービスが良いと思い、講師とも関係が築けているからですよね?それをわざわざ別の塾に変えるというのは矛盾しています。
それよりも夏期講習についての適正なコマ数を担当講師とよく相談し、どうやって夏勉強していくかの計画をしっかり立てていくことが重要だと思います。新しいものに目移りしたくなる気持ちも分かりますが、隣の芝は青く見えるだけです。
②基礎が固まっており志望校対策を本格的にやりたい人
2番目に挙げるのは基礎がしっかり固まっている上で、志望校別の演習をしっかりとやっていきたい人です。ポイントだと思うのは「基礎が固まっていること」で、基礎が無いのにハイレベルな演習をやるのは時間とお金の無駄でしかありません。
僕は基礎レベルまでなら個人でも固めることは十分に可能だと思います。特に上位校を目指しているような生徒さんにとっては基礎を固めるところまでは自分で勉強してほしいと思います。
そしてどうしても分からないような志望校の過去問レベルの問題の解法や考え方を講師から聞き、それを自分の中に落とし込んでいくというのが良いです。また、自分1人では気づけないような悪い癖を講師に指摘してもらうといった面でも夏期講習は最適です。
もちろん、夏までに基礎を固めておくというのは結構理想論です。多くの受験生が夏を迎えても基礎力が完全に身についているとは言えず夏も復習に充てるということが多々あります。基礎ができていない人は無理に夏期講習を取らず、基礎固めをしっかりとやることがまず第一です。
③もうどうしようもなく勉強のやる気が出ない人
中には受験が迫っているのに「勉強のやる気がまっったくでない!」という人もいるでしょう。先ほど触れたように教科書と参考書があれば1人でも基礎固めは十分にできると思いますが、モチベーションを保てる人はそう多くないと思います。
そういった人にとって環境をガラリと変えることができる夏期講習はおすすめ。自分と同年代あるいは年下の生徒たちが真剣に勉強しているところを見ると「やばい…さすがに勉強しないと」と焦ってくると思います。また、自習スペースを開放している塾・予備校も多いので家では勉強できない人にもおすすめです。
また、特に個別指導塾では質問をすれば勉強のやり方や志望校の選び方について詳しく教えてくれます。そういったことがボヤけていると机に向かうやる気が出ないため、早い段階で明確にしておくことが必要です。
今のままではいけないと分かっているけど1人では勉強できない、やる気が出ないという方は夏期講習を自分を変えるきっかけにしてみましょう。
まとめ
夏期講習について特に受けておくべき人についてお伝えしました。塾側としても利益になる講習会はコマ数だけを増えがちですが、本当に自分に必要なのかを見極めることが大事だと思います。
内部生については塾に特定の不満が無い限り、講師とよく相談して必要なものを取った方がいいです。講師はあなたのことをよく把握してくれており何が足りないかもわかっているはず。もし通う塾に不満があるのなら早めに変えたほうがいいです。
今塾に通っていないような方の場合、特に基礎レベルの問題については参考書を何周もすれば自然と解けるようになるので、自分で勉強を管理できる人は1人で進めたほうが効率が良いと思います。そのうえで志望校に合わせた発展的なレベルを取るのがいいですね。
といってもこれは理想論で勉強習慣がついていない・やる気がでないという人は夏期講習をとりあえず申し込むというのはアリです。人間は環境に引っ張られる生き物なので、よい刺激をもらって自分の肥やしにしましょう。
これ以外のケースで何となく申し込むというのはやめた方がいいと思います。夏期講習は結構高いですし、親はお金を払って満足し子供も行くだけで満足するというのは最悪のケースです。自分には何が足りないのか、目的はハッキリしているかをまずは考えてみてください。
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