【古文】終助詞とは何か?わかりやすく意味を解説してみた。

古文

助詞を勉強していると出てくる「終助詞」ですが、一体何なのか分かっていない人も多いと思います。簡単に言うと文末に置かれて色々な意味を添えてくれる助詞ということになるのですが、なぜこんなものを勉強しないといけないのかと思いますよね。

そこで今回はなぜ終助詞が大事なのか、覚えておかないといけない終助詞は何なのか、現役塾講師の視点からわかりやすく解説してみました。終助詞が良く分かっていない方はぜひ最後まで読んでいってください。

終助詞とは何?なぜ大事なのか

冒頭でも軽く触れたように、終助詞とは「文末に付いて様々な意味を添える助詞」です。古典の文法の中では割と最後に出てくるので、あまり重要視されていない気もするのですが超重要な助詞です。なぜそんなことが言えるかと言うと、こいつらがいないと文章がそもそも全く別の意味になってしまうからです。分かりやすく現代語で例を挙げながら説明してみます。

一番わかりやすい例なのは「おい、あいつに冷たくするな」と言ったときの終助詞「な」です。たった一文字の言葉ですがこれが無かったらどうなるでしょうか。「おい、あいつに冷たくする」となってしまい、意味が正反対でしかもどこか不自然な文章が出来上がってしまいます。

今説明したのは現代語での例ですが古文でもまったく同様です。終助詞がないと意味が通じない変な文章が出来上がってしまうのです。受験古文では登場人物の心情やストーリー展開を追いかけていくことが必要不可欠ですが、そのうえでも終助詞が欠かせないものだと分かってもらえたでしょうか。

 

受験古文で覚えておくべき終助詞一覧

さて、そんな終助詞ですがいったいどれを覚えておけばいいのでしょうか。古文を使って受験をする際に必ず覚えておいてほしい終助詞・できれば覚えておいてほしい終助詞に分けて紹介したいと思います。

①:必ず覚えておいてほしい終助詞

まず終助詞を整理すると以下のようになります。その中でも重要度が高いのが左にまとめてある終助詞。先にこちらから意味を分かりやすく解説していきたいと思います。

終助詞「ばや」・「てしが」・「にしが」

自分の願望を表す終助詞で「~したい」という風に訳します。あとで紹介する他者への願望の終助詞「なむ」とは意味の上で区別しておいてください。

例)いかで見ばや

→どうにかして見たい

例)伊勢の海に遊ぶ海人ともなりにしが

→伊勢の海で遊ぶ海人にもなりたいものだ

また「てしが」と「にしが」には亜種のような「てしがな」・「にしがな」という単語が存在します。こちらを目にすることもあるので頭の片隅に留めておいてください。

更に余裕がある人は接続まで覚えておくこと。「ばや」が未然形接続、「てしがな」・「にしがな」が連用形接続の終助詞です。接続を聞いてくる問題も大学入試では問われてしまうのでしっかりと整理しておきましょう。

 

終助詞「なむ」

終助詞の「なむ」は「~してほしい」という他者への願望を表します。参考書でも「他者」と人っぽく説明されることが多いですが、別に物に対しても使うことができるので覚えておいてください。

例)いつしか花咲かなむ

→早く花が咲いてほしい

また、終助詞の「なむ」は識別問題でも頻出の問題です。詳しくは次の記事にもまとめてあるので、覚えていない方は参考にしてください。

>>【古文】「 なむ」の 識別をカンペキに!練習問題にも挑戦してみよう

 

終助詞「な」・「そ」

終助詞の「な」には「~するな」という禁止と「~だなあ」という詠嘆の2つの意味があります。禁止の意味は現代語の「ここでお菓子を食べるな」と言うときの「な」と同じように使えるので分かりやすいと思います。詠嘆の意味が抜けやすいのでこちらもきっちり覚えておいて下さい。

例)あやまちす

→間違いを犯すな

例)花の色は移りにけり

→桜の花の色はいろあせてしまったなあ

また、禁止の意味の終助詞としては「そ」も覚えておいてください。こちらは必ず「な~そ」の形で禁止を表します。禁止「な」よりは軽いニュアンスがあります。ちなみにめちゃくちゃ細かいですが、「な~そ」の形で登場する「な」は先ほど紹介した終助詞ではなく副詞ですので完全な別人です。

 

終助詞「もが」・「もがな」

終助詞「もが」と「もがな」は願望を意味して「~があればいいのになあ」という風に訳します。実際はまだ実現していないことに対して使う言葉だと覚えておいてください。

例)世の中にさらぬ別れのなくもがな

→世の中に避けられない分かれがなければいいのになあ

ちなみに「もが」が1つの終助詞でさらにそこに終助詞「な」が合体してできたのが「もがな」です。訳出の仕方は一緒なので入試でニュアンスの違いなどは気にする必要はありません。

 

終助詞「かし」

終助詞「かし」は「~よ」と念押しをする終助詞です。文の言い切りの形に付くとよく説明されますが、あとの時代になってくると命令形にくっついて登場することが多いです。

例)いま一度笑へかし

→もう一度笑えよ

また、「ぞ+かし」という形で見かけることも多いので出てきたらちゃんと反応できるようにしておきましょう。

 

②:できれば覚えておいてほしい終助詞

後は余力があれば覚えておいてほしい助動詞を軽く紹介しておきたいと思います。正直そこまで見かけたり問われたりすることはないので「そうなんだ」くらいに思っておいてくれれば大丈夫です。

終助詞「かな」・「か」・「かも」・「は」

これらの終助詞は詠嘆を表し「~だなあ」と訳せばOKです。

例)限りなく遠くも来にけるかな

→遥か遠くまできてしまったものだなあ

 

終助詞「ぞ」

終助詞の「ぞ」というものも一応存在しています。というか学者先生の間でも意見が割れているところらしく、係助詞として載っている辞書もあれば終助詞として紹介されている辞書もあり、これを判別させる問題は入試に出ることは100%ないでしょう。一応ここでは終助詞の「ぞ」は念押しの意味があるとしておきます。

例) わが恋は行方もしらずあてもなし逢ふを限りと思ふばかり

→私の恋の行く末は分からないしあてもない。ただ、あなたと会うのが最高だと思うだけだよ。

あんまり重要ではない助詞なんですが、この和歌がとてもエモいので紹介してみました…笑

 

まとめ

終助詞というのは軽く見られがちですが、現代語と同様に古文の世界でもこれがないと文章全体の意味が成り立たなかったり、全く違った文章が出来上がってしまいます。まずはそれくらい重要なんだということを理解すること。

そして覚えるべき終助詞は結構限られています。今回紹介したものの中でも受験によく出るものはしっかりと覚えておいてください。

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