古典 の「婉曲」って何なの?読み方から意味・訳し方まで完全解説します

古文

古文で出てくる「婉曲」という言葉。高校に上がったタイミングでいきなりこの言葉が出てくるわけですが、読み方からして分からないですよね。「えんきょく」と読んで、意味は「遠回しに言うこと」です

これでもう話は終わってしまうのですが、せっかくなので古文ではどんな場面でこの「婉曲」が出てくるのかを解説したいと思います

古文で婉曲が出てくるタイミング

古文で婉曲が出てくるのは婉曲の意味を持っている助動詞が出てくるときです。古文では助動詞という色々な意味を持っている言葉が頻繁に登場します。例えば、打消の「ず」や完了の「ぬ」といった具合です。そういった助動詞の中に婉曲の意味を持った助動詞が存在します。

どんなものがあるかと言うと、次の助動詞を覚えておいてください

これらの助動詞が実際にどんな感じで使われるのか例文を見ながら確認していきましょう。

婉曲の助動詞の使い方

①:「む」・「むず」

助動詞「む」と「むず」の違いはありません。この2つの助動詞はとてもたくさんの意味があるので、覚えていないと大学入試で太刀打ちできません。ここでは婉曲に絞って解説しますがまだ意味を覚えきれていないという人はすべての意味を早めに覚えてしまうことをおすすめします。

「む」・「むず」が婉曲として使われるのは以下のような場合です

思は子を法師になしたらむこそ心苦しけれ

→可愛いと思っている子を法師にするようなことは気の毒である。

さる所へまからむずるも、いみじくも侍らず

→そのようなところへ参上するようなことも、嬉しくもございません。

上記はそれぞれ「む」と「むず」が使われているケースです。文末ではなく文中に助動詞「む・むず」があり体言に接続しているときは基本的に「~のような」と訳しておけばOK。ただし仮定で訳したほうが自然な場合もあることには注意してください。

助動詞「む」については別記事でかなり詳しく紹介しているので、不安な方はコチラも参考にしてください。

>>【古文】助動詞「む」の意味の識別が120%わかる解説

②:「けむ」・「らむ」

助動詞「む・むず」の親戚にあたるのが「けむ」と「らむ」です。これらはそれぞれ過去推量と現在推量の意味で出てくることが大半ですが、過去の婉曲・現在の婉曲という意味も持っています。これも例文で使い方をチェックしておきましょう。

向かひゐたりけむありさま

→向かい合って座っていたような様子

あうむ、いとあはれなり。人の言ふらむことをまねぶらむ

→鸚鵡はたいそう趣深い。人が言うようなことをまねているようだよ。

過去の婉曲は単純に「~であったような」という婉曲の過去バージョン。現在の婉曲は普通の婉曲と同様に「~のような」と訳しておけばOKです。これらも「む・むず」と同じように文中にあり体言に接続するとき婉曲の意味になると覚えておいてください。

③:「めり」

推定の助動詞として出てくることが多い「めり」にも婉曲の意味があります。ちなみに推定と推量が紛らわしいですが、推定は何かしら根拠があるときに使われる言葉で「めり」は目で見た情報をもとに推定しています。婉曲の意味としては次の例文を確認しておきましょう。

「もののあはれは秋こそまされ」と人ごとに言ふめれど

→趣が深いのは秋が優れているとみんな人は言うようだけど

このように「~のようだ」と使われることが多いです。「む・むず」とは異なり体言に接続せず前の内容を受けて「~のようだ」という感じですね推定とは違って視覚に頼っていないときに婉曲となると区別しておけばOKです

まとめ

婉曲とは「えんきょく」と読み、意味は「直接ではなく遠回しに言うこと」です。古文の中では「む・むず」・「けむ」・「らむ」・「めり」が婉曲の意味を持っているので確実に訳せるようにしてください。

特に「む・むず」・「けむ」・「らむ」は体言に接続しているときに婉曲になりやすいということを絶対に覚えておくこと。「む」は結構入試問題でも聞かれるので整理しておきましょう。

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