「古文は難しい…どうやって勉強すればいいのか分からない」
そう思っている方も多いのではないでしょうか。
でも、古文が難しいというのはちゃんとした勉強方法を知らないからです。闇雲に勉強しても訳がわからないままですが、ちゃんと勉強していけば古文はあなたの武器になります。
今回は現役塾講師として働いている僕の経験から古文の勉強法をロードマップにまとめてみました。かなり長い記事なので本気で悩んでいる方だけ読んでください。
古文の勉強は避けては通れない
まず、古文の勉強方法に入る前に立ち止まって考えてほしいのが「古文を勉強する意味」です。色々な意見があると思いますが、結論から言えば古文を勉強する意味は受験において有利に立てるからだと僕は思っています。
学校の先生たちは「古典の世界に慣れ親しんでほしい…」とか考えているのかもしれませんが、正直そんな余裕と時間は受験生にはありません。詳しくは別記事に譲りますが、古文は英語などの科目と比べて勉強時間が少なく済み、その上差が出やすい科目なのです。
>>【高校生向け】古文を勉強する意味と楽しみ方をザックリ伝えます
もちろん、楽しみながら勉強するのに越したことはありませんが、まずは受験において必要不可欠なものだという認識を持つことが重要です。
特に文系において二次試験で古文を課されることがほとんどですが、そこができるかできないかで大きく合格・不合格が変わってきます。受験で古文は有利だから外すことはできないと肝に銘じておきましょう。
古文の具体的な勉強方法の流れは?
では、具体的にどのように古文を勉強すればいいかというと、
①:単語を覚えていく
②:文法事項を覚えていく
③:アウトプットの練習をする
➃:読解練習をしていく
➄:過去問を演習する
というのが王道パターンだと僕は思っています。
いきなり読解から取り組むという生徒さんも多いのですが、それだと本当にチンプンカンプンで多分挫折します。英語でも同じですが、まずは基本的な単語と文法をある程度固めるのが先決です。
そして次にインプットした知識を使えるものにしていくアウトプット段階が必要です。具体的なやり方は後述しますが、読解問題をいきなりやるのではなく精読と品詞分解を徹底的にやるべきです。
十分に知識を身に付け、使いこなすことができるようになった段階で読解問題の演習に入っていきます。この段階では自分の知識の抜け漏れを見つけるとともに、入試レベルの問題の傾向に慣れていきます。
そして最後に、志望大学の過去問に取り組み徹底的に傾向を分析・対策をすることで古文の勉強は完成です。ここまでしっかりと勉強できれば正直どの大学の問題でも解けるようになります。
実際に各段階でどのように勉強すればいいのかについて詳しく説明していきます。
①:古文単語
まず古文単語について。よく「どの単語帳を使えばいいかわからない…」という方がいますが、正直どの単語帳でも良いです笑。入試で必要な古文単語は300個くらいで、学校で配られる単語帳ならこれくらい収録されているものが多いはず。これをゴリゴリ進めていくだけです。
注意点としては、浅く覚えてどんどん深めていくという意識を持つこと。古文単語は意味が2つ3つと複数あるものが多々あり、一度に全部覚えようとすると嫌になってきます。
なのでまずは一番重要な意味だけをおさえ、どんどん先に進めていきましょう。1日20~30分時間を割いたとしておよそ1カ月もあれば300ほどはちゃんと定着させることができるはずです。
また、現代語と同じだけど違う意味で使われやすい単語は入試で狙われやすいので特に覚えておく必要があります。例えば、「かなし」という単語は「悲しい」という意味ではなく、「可愛い」という意味で使われることがほとんどです。
「いやいや、そんなこと言っても覚えられないよ!」
といった方には、ゴロ暗記することをおすすめします。実際僕も現役時代の時は単語を覚えるのが嫌すぎて、「ゴロゴ」を使って暗記していました。いまでも単語を見るとゴロが思い浮かぶときもあります笑。
古文の先生の中にはゴロ暗記に対して快く思っていない方も多いと思いますし、僕もその気持ちも分かるのですが、受験生はとにかく効率よく勉強する必要があります。
正直古文に時間をかけている場合ではなく、数学や英語などの重い科目を磨いた方がいいです。自分が覚えやすいと思ったらゴロの力に遠慮なく頼りましょう。
②:古典文法
次に単語と並んで重要な文法についてです。大きく分けると次の4パートをおさえていくのが必要となります。
①:助動詞
②:助詞
③:敬語
④:和歌
特に重要なのが助動詞と敬語で、これらが分かっていないとまず入試問題には太刀打ちできません。
助動詞・助詞・敬語に関しては、薄めの文法ドリルをまずは3周するのを目標としましょう。これは2カ月ほどを目安に終わらせたいです。その際に重要となるのは、意味・接続・活用です。
例えば、「ず」は打消の意味の助動詞で、未然形に接続し、活用は「ず・ず・ぬ・ね・〇」です。この3つがスラスラ出てくるレベルを目指します。
次に助詞に関してですが、こちらは格助詞・接続助詞・係助詞・終助詞・副助詞の主要なものを見分けられるレベルを目指します。(どこを覚えればいいかのポイントについては別記事で詳しく解説します。)
助動詞と助詞を覚え終わったら次は識別問題を完璧にしていきましょう。実際の入試では「これは文法的に言ったら助詞・助動詞・動詞・形容詞・形容動詞のうち何でしょうか?」といった形式の問題が多く出題されます。
これを識別問題と言っていますが、これはパターンを抑えればOK。文法ドリルにも典型的な問題が収録されているはずなのでそこで鍛えていきましょう。
敬語は尊敬・謙譲・丁寧を見分けること、本動詞か補助動詞か識別できれば大丈夫です。単語帳にも載っているはずなので合わせてみておきましょう。後でも触れますが敬語は読解の際に超重要になってきます。なぜなら敬語を手掛かりにして主語を識別していく必要があるからです。
最後に和歌について。和歌で重要なのは枕詞・掛詞・序詞・縁語の4つの修辞法と区切れを見分けるということです。
和歌は難解で正直完璧に訳すのは無理ですがポイントを知っていれば点数を取ることはできます。特に問題となりやすいのは掛詞と区切れ。この2つは共通テストレベルでもバンバン出ることが予測されます。
掛詞に関しては代表的なもの(例えば「まつ」は「松」と「待つ」の掛詞)を暗記しておかないと太刀打ちできません。逆にメジャーではないものは他の受験生もできないので差が付かないと思います。
区切れに関してもどのタイミングで起こるのかは明確に見分けることができるのでそのルールを完璧におさえておきましょう。
「1人では古文をこんなに勉強できない…」という方はスタディサプリで勉強するのもおすすめです。
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③:アウトプット練習
古文単語と文法の知識が固まったところで、その学んだ知識を実際にアウトプットして使えるかどうかを確かめていきます。
具体的なやり方としては、文章を読んで品詞分解と口語訳をしてみるということです。高校の授業でも品詞分解や現代語訳はやっていると思いますが、初見の文章を見て「これは係り結びだな」とか「これは誰から誰への敬語だな」というのが分かっているかどうかのチェックをします。
使う教材としては「古文上達45」が圧倒的におすすめです。助動詞や助詞など文法ごとの章に分かれているので、1つずつ文法事項を復習しながら自分の理解度を深めていくことができます。
まずは問題はおいておいて、本文の品詞分解と和訳をする→それを解答と照らし合わせてチェックし、何が足りていないのかを分析していくこと。地味でキツイ作業ですがこれをやっていくことで各自に力は伸びていきます。
自分が分からなかった文法や単語は必ず参考書に立ち戻って復習することを忘れずに。これを繰り返すことで確実に定着していきます。
➃:古文読解
単語と文法を固めてアウトプット練習をしたらいよいよ読解に入っていきます。最初はちんぷんかんぷんかもしれませんが続けて学習していけば必ず読めるようになってくるので最初は辛抱が必要です。
読解の教材を購入する際に気をつけたいのは「解説が充実しているか」という点です。まずは自分で手に取ってちゃんと解説が書いてあるか、重要な部分は品詞分解までしてくれているかどうかは確かめるようにしましょう。
読解の勉強方法としておすすめなのは、一度解いた問題を全文訳してみるということです。結構面倒くさいですが、品詞分解を自分で細かくすることにより文の構造がつかめてきますし、分からない単語を浮き彫りにすることができます。
また、音読もおすすめの勉強法です。全文訳が大変だという方は一度解いた問題を音読してみてください。
もしここで詰まることがあれば、どこで区切ればいいのかが分かっていないということ。スラスラ読んで意味がとれるくらいまで音読をすると古文はグーンと伸びます。
このようにして1冊の読解問題を3周ほどやりこんだら次のレベルの問題に移っていきましょう。
また後程詳しく紹介しますが、「ポラリス①」や「全レベル古文③」が脱初心者~中級者にはちょうどいいかなと思います。
➄:入試問題
実力をつけてきた最後の仕上げとして入試問題を使います。この時に注意したいのは、志望大学の傾向を掴むことと、どのように合格点を取るかということです。
各大学によって出題される問題は本当にまちまちで、傾向を分析して対処できるようにしていないと合格点を取ることはできません。
自分に足りない部分はどこなのか、どう勉強すれば合格できるのかを常に考えながら過去問を分析していきましょう。受ける大学の数にもよりますが、赤本は5年ほどは解いておきたいですね。
おすすめ教材紹介
今までも少し触れてきましたが、単語・文法・読解の教材としておすすめのものをいくつか紹介しておきます。あくまでも僕が実際に解いてみて良かったものを選んでいるので、学校や自分で購入した教材で大丈夫そうならそれを使いましょう。
単語編
これは学校でも使用しているところが多いかもしれません。本屋さんに行ったら平積みになって売っていたりする超オーソドックスな単語帳です。
この単語帳の良いところは、例文が豊富で覚えやすいということと、時折イメージしやすいイラストが載っているということです。
和歌や古文常識までこの1冊でカバーできるので、これをやりこんでいればまず間違いないですね。こちらの記事で詳しく解説していますのでチェックしてみてください。
>>『重要古文単語315』は足りない?使い方を徹底紹介します。
とにかく単語の暗記が苦手という方はこちら。面白いゴロが満載なので、あんまり勉強しているという感覚がないまま単語を覚えることができます。
ただ、ゴロの前半だけ思い出して肝心の単語が思い出せないということが頻繁にあったりします笑
賛否両論ありますが、古文は単語をある程度覚えないと始まらないのでコチラを利用するのもアリかと思います。
文法編
基本的な文法はこれ1冊で大丈夫です。30章に分かれており、動詞・形容詞・形容動詞・助動詞・助詞・敬語などの必須文法を学ぶことができます。
まずはこれを何周もして文法を固めましょう。薄い冊子なのでそれほど抵抗感もなく終えることができるのが良いですね。これより1段階レベルが高い青い冊子もあります。
>>【古文】ステップアップノート30の使い方とレベル感を徹底評価
読解編
こちらは文法の単元が45個あり、そのあとに読解問題が付いているという構成になっています。昔からあるスタンダードなテキストですが、大学の過去問ベースに問題が作られているので実際の入試も意識しつつ演習をすることができます。
ただ、後半は和歌などが難しい(というか入試でほぼ聞かれない)ところまで収録されているので大変に感じるかもしれません。敬語くらいまでを何周かするのがおすすめです。
>>「古文上達45」の評価と使い方。早稲田からGMARCHまでコレ1冊で十分?
問題の難易度にばらつきがあるように感じるものの、古文読解の演習にはちょうどよいと思います。ある程度読めるように感じてきたらこちらを使って演習していきましょう。
解説や品詞分解はかなり丁寧に書いてくれているので、1人でガンガン進めるのにも向いていると思います。読解の仕方やポイントが分からないという方にまずは始めてもらいたい教材です。
>>ポラリス古文1・2の評価と効果的な使い方を現役塾講師が解説!
こちらもポラリス同様に読解力がある程度ついてから取り組みたい参考書。レベル感としては日東駒専や産近甲龍あたりでポラリス①とほぼ同じです。ただ、若干の記述問題があったり、内容が難しいものも収録されています。
>>全レベル問題集古文3の評価と効果的な使い方をレビューしてみた。
背景知識を紹介してくれるのは有難いですが、個人的にはポラリスのほうが解説は丁寧に感じます。まずはポラリス→全レベルの順で取り組むことをオススメします。
古文を勉強する際の注意点
最後に古文を勉強する上で知っておきたい5つの注意点をお伝えします。
①:完璧に理解できる人はいない
②:共通テスト古文はむずい
③:コツコツ続ける必要あり
④:助動詞・文法が重要
⑤:主語を見分けるのも肝
これらを知らないといらない心配を起こしたり、途中で勉強が嫌になってしまうのでしっかりと覚えておいてください。
①完璧に理解できる人はいない
古文を完璧に理解しようという気持ちは捨てましょう。どんなに古文ができるという人でも100%内容が分かるという人はいないと僕は思っています。(いるとしたら多分研究者とかでしょう。)
完璧主義の方に見受けられがちですが、分からない部分があったからと言ってへこまないこと。それよりも解説を読みこんでどこまでを理解できなければならないのか分析していくことの方が大事です。
実際、難関大と呼ばれる大学の入試問題を見てみると、絶対に解けないだろ…という問題がちらほらあります。誰も解けない問題では得点には差が付かないので、それよりも基礎をしっかりと固めるというのが大事になってきます。
②共通テスト古文はむずい
勘違いされやすいのですが、共通テストやセンターレベルの古文は普通に難しいです。
どれくらいの難易度かというと、文章自体は日東駒専レベル~GMARCHレベルと遜色なく、それより難解なものが出題されることもあります。しかも文章全体がかなり長いので、しっかり勉強して望まないと自信をコナゴナに打ち砕かれます…
ただ、設問自体は捻ったものが出ることは少なく、文法・単語をしっかりと押さえて読解力を磨いていれば十分に対処可能です。
③コツコツ続ける必要あり
受験勉強科目全般に言えると思いますが、特に古文はコツコツ勉強することが大事だと思います。
そもそも古文に力を入れて1日3時間とか勉強している人はほぼいないですよね。他にも英語や数学、社会科目など勉強すべきことは目白押しで、正直古文にかけられる時間は少なく後回しにされがちだと思います。しかし、後回しにして最後詰め込んでも点が取れるほど古文は甘い科目ではありません。
そんな中で古文の力を上げるためには、「古文の勉強を1日30分は必ずする」などと毎日の勉強時間を決めてしまうことがオススメ。コツコツ毎日積み上げていくイメージでやっていきましょう。
④助動詞・文法が重要
古文も現代語と共通しているところがあるので、なんとな~く読めてしまうという方もいるかもしれません。かつての僕もそうで、文法とかは大分テキトーでした。
でも、毎回安定して高得点を取るためには文法を学ぶことが必要不可欠です。その中でも特に大事なのは助動詞。勉強法のところでもお伝えした通り、助動詞の意味・接続・活用は覚えておかないと読み間違えることが多々あります。
他にも助詞や敬語など文法事項は大量にありますが、「文法が何も分からない」という人はまずは助動詞の勉強を最優先して行なうようにしましょう。
⑤主語を見分けるのも肝
古文の読解に入ったときに意識してほしいのは、とにかく主語は誰なのかということ。
とにかく主語を省略しまくってしゃべっているので、正直この主語を判別する感覚がないと内容を掴むことができずに詰みます。
主語を判別するポイントとなるのは敬語と接続助詞です。敬語が使われている相手は誰なのか、どのタイミングで主語が変わりやすいのかについては完璧にしておきましょう。
>>【古文】主語が変わるタイミングや目印を紹介。ポイントは助詞にある!
まとめ
古文はちゃんと勉強すれば得点できる科目ですが、なんとなく難しそうと避ける人が多いです。ですが英語や数学などに比べれば学習することは少なく、比較的短期間である程度形にすることが可能な科目だと思います。
特に文系の場合は二次試験で古文が課されているところがほとんど。上位校ほど英語や社会は皆出来てしまうので、差が付くのは国語。そういう意味で言っても古文の重要度は高いです。
今回ご紹介した方法はどれも僕自身が実践して効果を実感しているものばかりです。ぜひ取り入れて古文を得点源にしていきましょう。
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